硝子体注射(抗VEGF療法)
硝子体注射が有効な病気
現在、下記の5つの疾患に対して、硝子体注射が適応になっています。
●加齢黄斑変性症
●糖尿病網膜症(糖尿病黄斑浮腫)
●網膜静脈閉塞症
●強度近視による脈絡膜新生血管
●血管新生緑内障
硝子体注射(抗VEGF療法)とは
加齢黄斑変性や網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症などの網膜の疾患により、黄斑(網膜の中心部分)に浮腫(むくみ)が生じると、ゆがみや中心暗点(真ん中が暗く見える)、視力低下などの症状が出現します。
これらの疾患では、体内のVEGF(血管内皮増殖因子)という物質が、新生血管の増殖や黄斑浮腫の悪化に関与していることがわかっています。抗VEGF療法は、このVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することで、新生血管や血管成分の漏れを抑制する治療です。
硝子体注射の方法
注射の前に点眼麻酔をしますので、処置中の痛みはほぼなく眼球が押される感覚を受ける方が多いです。目に針を刺すことに抵抗感や恐怖心を抱く方が多いと思いますが、ご安心ください。
点眼消毒・麻酔
注射
硝子体注射のしくみ
硝子体注射の投与スケジュール
疾患や状態によって投与のスケジュールは変わってきます。
投与間隔には、固定療法、TAE療法、PRN療法などがあります。
当院では基本的に以下の投与スケジュールとなります。
●加齢黄斑変性(AMD)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、網膜中心静脈閉塞症(CRVO) :TAE療法
●網膜分枝静脈閉塞症(BRVO):1回投与+PRN療法
TAE療法(Treat and Extend)
最初、1ヶ月に1回の注射を3回行います。その後、2ヶ月後に注射を行い、それ以降は経過を観察しながら適切な間隔で注射を行います。網膜中心静脈閉塞症による黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、加齢黄斑変性などで注射の効果が持続するケースに用いられます。
PRN療法
最初、1ヶ月に1回の注射を3回行います。その後は、必要時の注射となり、症状が悪化した際に注射を行っていきます。網膜静脈分枝閉塞症による黄斑浮腫で使われることが多い療法です。
治療日前後に行なっていただきたいこと
治療を受ける前の3日間と注射後の3日間は、注射部位への感染を予防ぐため、主治医の指示どおり、抗菌点眼剤(抗生物質の目薬)をご自身で点眼していただきます。
治療日には、主治医が眼や眼の周りを十分に消毒し、麻酔薬を点眼や注射等した後で、硝子体内に注射します。
硝子体注射後の注意点
感染症に注意
注射後1週間は感染のおそれがありますので、眼に不快感があっても、手で眼をこすらないようにしましょう。
以下の症状がでた場合は主治医にご相談下さい。
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眼に痛みや不快感がある
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眼充血の悪化
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目やにがよく出る
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光に対する過敏症
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飛蚊症(目の前を小さな「浮遊物」が飛んでいるように見える)
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視力が低下したように感じる
日常生活での注意点
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治療後に眼がかすむなどの症状が続いている間は、高所作業、自動車の運転など危険を伴う機械の操作はしないでください。
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一般薬(薬局で売っている薬)を含めて、新しく他の薬を使用する場合は、担当医に必ず伝えてください。
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注射後の入浴、洗顔、洗髪については、担当医の指示に従ってください。
硝子体注射の副作用
非常にまれですが、細菌などが眼の中に入る場合や眼圧上昇、視力低下、眼痛、網膜出血、一過性視力低下など報告があります。注射後、視力が低下したと感じたり、からだに異常が起きたなど、いつもと違うと感じましたら直ぐに主治医にご連絡下さい。
硝子体注射の費用
適応する疾患により費用が異なりますので、詳しくは診察時にお問合せください。
また、硝子体注射は保険適用ですので各負担額により、費用が異なります。